このカテゴリで感想を書くのも久々、そしてこれが最後。
久米田康治先生の「さよなら絶望先生」最終30集がいよいよ本日発売となりました。
マガジンでの連載終了から早二ヶ月。単行本での加筆がどうなるのか待ち遠しくもあり、本当の終わりを迎えるのが寂しい気持ちもある、そんな複雑な気持ちで今日を迎えました。
以下ネタバレ含む。
と、注意書きを書いてみましたが、こんな辺境まで来られるのは百見様だけな予感。
あの結末を知った今、改めて終了10週前からの話を読んでみると、第292話での「籍替え」に第293話での「共同幻想」、そして第296話での「記憶転移」と、最終話直前の第300話でのネタばらしに向けてのヒントが散りばめられているのがよく解ります。改蔵的に言えば最終話に向けてのソフトランディングですね。
毎度の単行本でのおまけの充実度は周知のことながら、この見事なソフトランディングっぷりをみると、やっぱり久米田先生は読者への配慮、読者サービスを第一とした漫画家さんである事を再認識できますね。
さて、ここからは単行本での加筆部分について。
各話終了後の追加ページは本編の補足、そして最終話の追加ページと合わせてへ組男子達のフォローが描かれる。
本編で一時期、男子達が糸色先生の代理を任されていた時がありましたが、ここで本当に彼らが糸色先生に「もしもの事」があった時の為の代理役であった事が明らかに。ついでにカエレの住んでいた海外の島がこの「臓物島」(後述)であった事も解りました。本当にエセ帰国子女なのな!
本編終了後の後日談として描かれた?第30X話は内容だけ見れば完全に和製ホラー。
「ギャグとして描いていたのに、想像以上に不気味なものになってしまいました」(紙ブログより)
おっしゃる通り、まったくもって笑えない話になっていますよ久米田先生!
ちなみにこの話で明かされた糸色先生の赴任先の島の名前、「臓物島」のネタ元はこれ。
かってに改蔵 第123話「説明時代1,2,3!」(単行本11巻11話)より紙ブログの「12年前からの狙っていない伏線」という記述を読まなければ私も全く気づきませんでした……素で分かった方は百見様どころか千見様に違いない!
単行本でも結局最終話の風浦可符香の正体は明かされず、その解答は読者それぞれの頭の中に……私は糸色先生にだけ見えた幻想だと解釈しています、糸色先生の心の中にいる風浦可符香。
そんな風浦可符香=赤木杏の言葉が、あとがきに綴られていました。
『私の名前は、赤木杏。でした。
ある日突然、暗い闇の底にいるところを、
たくさんの仲間たちに光の世界に引っぱり上げられました。
楽しかった運動会。楽しかった修学旅行。
楽しかった文化祭。楽しかった。
私は幸せでした。』……年甲斐もなく、涙が出そうになりました。
彼女が幸せで、本当に良かった。
そしてそんな彼女を、少女達の中にいる赤木杏を、糸色先生は生涯愛し続ける。なんだ、終わってみれば「さよなら絶望先生」って純愛漫画だったんですね!(
以前、久米田先生は改蔵新装版最終巻での足立先生との対談で、今度は真剣な恋愛モノを書いてみたいとおっしゃっていられましたが……この結末を見ると久米田先生の描く本気の恋愛漫画を、なおさら読んでみたくなりました。
ええ、つまりですね。
久米田先生の次回作に期待します!